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Interview01

CROSS TALK: KANA HANAZAWA + MIYUKI SAWASHIRO + ERI KITAMURA

――まずは、テレビシリーズが始まると聞いたときの印象からお伺いできますか?

沢城 テレビシリーズを「ノイタミナ」でやると聞いて、最初はやっぱり「おうっ!」っと思いました(笑)。 「ノイタミナ」というと私自身としては、ちょっと前衛的というか、チャレンジングなイメージがあるので。 そこでやるような深さの作品にするんだ、楽しみだなと、そんなふうに思った気がします。

花澤 わたしもやっぱり「おうっ!」と思いました。 たしか、グッドスマイルカンパニーの安藝さんが、イベントで「テレビシリーズをやりたい」と話されたんですよね。 だから、「もしかするとあるかもしれない」とは思ってたんですけど……。 ただ、OVA版はマトとヨミの2人の友情に焦点を当ててましたけど、テレビシリーズではどうなるんだろう?  とか、まったく別のキャラクターでやることも可能だよね、とか(笑)。

――基本的には、OVA版の世界観を引き継ぎながら、また違ったシリーズになりましたね。

沢城 直接の続きというよりは、3歩進んでいたのをまた1歩目に戻って、 今度はちょっと斜めに歩き出した、みたいな感じでしょうね。だからOVAを引き継ぐというよりは……。

花澤 ベースは一緒だけど、気持ち的には新しくやり直している感じはありますね。 あと世界観として、CGで作られている「虚の世界」が存在していて、そことの関係も考えながらやらなくては、みたいな。 そこはOVA版のときとはちょっと違った感じで。 あとマト自身も、OVA版だとヨミを引っ張っていく……というか結構、ヒーローみたいな印象なんですけど、テレビシリーズはそれだけじゃない。 明るくみんなを引っ張っていく感じなんだけど……っていう。

――沢城さんは、ヨミに対してどんなイメージで演じていらっしゃいましたか?

沢城 『ブラック★ロックシューター』にはいろんなタイプの女の子が出てくるんですけど、そのなかで一番、 自分がわかってあげられるタイプだな、と思います。 「自分に近い」というと安易な言い方になっちゃうんですけど、学生時代の自分は、たしかに教室でああいう立ち位置だったな、 と思うことが多くて。低血圧な感じとか(笑)。 でも一方で我が強くもあるし、嫉妬もする。エネルギーが渦巻いてるんだけど、それが表に出にくいように感じます。

――ヨミのそうした部分は、テレビシリーズにもしっかり引き継がれていますね。

沢城 演出として、明確に新しくなったのは「彼女たちをより"子供"として演じましょう」という命題が掲げられてたことです。 会話のシーンなんかでも、話題がポンポン変わっていっちゃうし、大人が聞いててついていけないことでも、子供の主観のなかではすじが通っていたりする。 怒りの沸点が低いし、心の防御力も低いんですよ。だから傷つくときにはザックリと傷ついちゃう。 そこをもっと強調しよう、というのはありましたね。

――喜多村さんはいかがでしたか?

喜多村 じつはオーディションでは、いくつか本編のセリフが抜粋されていて、演じたんですけど、 そのセリフというのが第1話の登場の場面と、第2話のクライマックスシーンで(笑)。 なので、自分のなかでもすごくインパクトがある役だったんです。デザイン的にも好みだったり、本当に自分のドストライクゾーンなキャラクターでした。

――カガリといえば、やはりマトにマカロンを押し付けるシーンが印象的でしたね。

喜多村 しかも「どどめ色」とか。

沢城 あと「ぐちゃぐちゃ色」ね(笑)。

花澤 それ、現場で流行ったもんね。

喜多村 人生で「どどめ色」なんて言う瞬間は、もうないかもしれない(笑)。 あと、カガリはこの世界の仕組みを最初に経験するキャラクターでもあって、第4話がそうですね。 第4話は、青い感じがしてすごく好きなんですよ。 いわゆる女子の友情が持ってる青さというか……。ちょっと依存しあってたりとか、友情の必要性を履き違えてるところとか。 カガリの場合は、悪気はないんだけど淡々とヨミを追い詰めていったり…。

沢城 自分の中学生時代って、こんなに恥ずかしい時期だったんだな、と思いましたね。 こんなに丸見えで過ごしてたのか、って。

喜多村 友達と一緒に帰るときに、たしかにこんなことしゃべってたなあ、と思い出しました。 しかも、昨日仲良く話してた友達が、次の日、別のグループと仲良くしてると、ちょっとだけ「ウッ」となったり(笑)。 アフレコをしていても楽しかったし、こうして放送を観るのもアニメファンとして楽しいですね。

――そのなかでマトは、"傷つかない"キャラクターとして登場しますよね。

花澤 そうなんですよ。自分のひと言によって、こんなにもみんなが苦しんだりとか、悩みに駆られてるのに、 マトだけずっとまっすぐで。現場にいて「これでいいのかな? それともわたしも、なにか悩んだ方がいいのかな?」って、思った時期もあったんです。 みんなが悩んでいるなかで、バッとまっすぐ言うのに、すごく度胸がいるというか。 他のみんなはたぶん中学生のイメージなんですけど、マトはまだ小学生の頃の、まっすぐな感じを残してるのかな、と思いながら演じてましたね。

――では最後に、こういうところに注目してほしいなというポイントを教えてください。

喜多村 カガリという、すごくインパクトの強いキャラクターを演じることができて、とても嬉しいです。 彼女のセリフもそうなんですが、『ブラック★ロックシューター』の世界では言葉がすごく重い。 なにげないひと言が誰かの心を動かしてたり、誰かをすごく傷つけてたりする。 そういう意味でも、「このセリフの意図ってこうなのかな?」って、考えながら観てもらえると嬉しいですね。 私自身も大好きな作品なので、これからも愛していただければな、と思います。

沢城 物語全体に大きな仕掛けが用意されているので、2週目の鑑賞がとても違う楽しみ方ができる作品だと思います。 重ねて、それぞれの女の子の主観で鑑賞してみてもまた違った物語に感じられるような気がするんです。 それぞれに言い分があるというか、例えば、ヨミが更衣室でマトに「小鳥遊さんは全然自由じゃない」って言われて、 座り込んでしまうシーンがあるんですけど、そのとき彼女の心に残った気持ちを想像して、 あとの流れを観てもらうと、「そういうことだったのか!」ってわかることがある。出てくる女の子たちみんな、 それぞれに抱えている気持ちが違うので、それぞれの気持ちで通して観ていただくと、まったく違うお話として楽しめるんじゃないかな、と思いますね。

花澤 全8話という短いシリーズでもあり、アフレコではあんなに集中して、いっぱいいろんなことをやったはずなんですけど、 できあがったアニメーションの30分は本当にあっというまに過ぎてしまって(笑)。 なので、じっくり1話ずつ観ていただきたいなと思います。

沢城 じっくり見ようと思います。

喜多村 何度も繰り返し見ます(笑)。

花澤 はい(笑)。

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