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Interview02

[対談]阿澄佳奈(神足ユウ役)×能登麻美子(納野サヤ役)×沼倉愛美(小幡アラタ役)

CROSS TALK: KANA ASUMI + MAMIKO NOTO + MANAMI NUMAKURA

――それぞれ演じられたキャラクターを、最初に観たときの印象って覚えていらっしゃいますか?

阿澄 捉えどころのない子だな、って印象でしたね。 あっけらかんとしているというか、飄々としているというか……。 いろいろと悩むことになるだろうマトがいて、その隣にいる友達だから、これくらいカラッとしたところがいいのかな?  と思いながら、オーディションを受けたんですけども、まさかテレビシリーズであんなことになるとは思いも寄らなくて……(笑)。

――あはは(笑)。その話はまた後ほど伺うとして、能登さんと沼倉さんはいかがですか?  おふたりは、今回のテレビシリーズから登場するキャラクターだったわけですが……。

能登 じつはわたしも、彼女(サヤ)にこんな裏があったなんて、予想してなかったです(笑)。 たしか第1話のセリフが、ほぼそのままオーディションに使われていたんですけども、あとはいただいたイラストの ――みんなを見守ってる優しいお姉さん、みたいな立ち位置かなあ、と。 だから彼女の考えていたことが第6話で明らかになったときには衝撃でしたね。 一番思春期を引きずっていたのは、じつはサヤだったというか……。 だから、最初の印象からどんどん離れていった役ではありました。

沼倉 じつはわたし、アラタの性別がわからなかったんですよ(笑)。 ジャージ姿だし、あんな感じじゃないですか。 だから最初に「これは男の子なんですか?」って聞いちゃって(笑)。 あと、元気で活発なイメージが強かったので、一人称が「私」だとわかったときは少し驚きました。 でも台本を読むにつれて「意外と女の子なんだな」っていうのがわかってきて。

――第3話で、男の子に告白するシーンがありますよね。 なんか見てるこっちまで照れちゃいそうな場面でしたが(笑)。

沼倉 中学時代の気持ちを思い出しちゃいましたね。 あー、こうやってモヤモヤしてたな~って(笑)。 あのシーンで渡した手紙の字って、じつはわたしの字なんですよ。

阿澄 えっ、そうなの!? 知らなかった……。

沼倉 はい(笑)。 中学生の従姉妹に、彼女の書く字を見せてもらって「こんな具合かな?」って何度も書き直して。 わたし自身はラブレターを書いたことないんですけど(笑)、 アラタはきっと、こんなドキドキした気持ちで何回も書き直したんだろうな、って。

――人生初のラブレターがこの作品に出てきたという(笑)。

沼倉 アラタって、あの歳にしては責任感のある子だと思うんですよね。 何か悪いことがあっても、それは自分が引き寄せた結果だから、自分で責任を取りたい。 そういう強い信念があるんですよね。ただやっぱり、年相応な部分も彼女にはあるので、サヤちゃんに引きこまれてしまったりとか……。

能登 ごめんよぅ……(笑)。

阿澄 サヤちゃんがいなかったら、アラタはあのままきっと、普通に失恋を乗り越えてたよね、きっと(笑)。

――というところで、最初の方に触れた話題に戻りたいと思うんですが、 ユウとサヤはかつて友人同士だったんですよね。

阿澄 はい。最初のアフレコあたりで、わたしと能登さんの2人だけ、呼び出しがあったんです。 「実はあなたたちはこういうことで……」って、そのときに大筋の概要を伺ったんですけど、さすがにビックリしましたね。 まったく知らなかったので(笑)。しかもユウはそのことを表に出しちゃいけないキャラクターなんです。 匂わせるようなこともやっちゃいけない。だから、最初の頃はあくまでもOVA版のユウのまま、カラッとした雰囲気で。

能登 たぶん観ている方からすると、 優しいお姉さんだと思ってた人が「あれ? ちょっと違う?」みたいに見えるのが、きっと面白いところなんだと思うんですよ。 裏の世界でみんなが覚醒するように仕掛けてる場面だけは、ちょっと不気味というか、 怖い感じを出しながらも、なるべくあざとくならないように。そこは気をつけて演じましたね。

――やっぱり難しい役どころだったんですね。

能登 難しかったです。 でも逆に、当番の回(第6話)でそういう今まで溜まってたものが、一気に消化できたのかなって思いましたね。 サヤってすごく利己的というか、ユウを守るためにはほかのものすべてを犠牲にする、できる人で。そういう彼女の"核"になる部分はすごくわかるんです。 でも、いざ演じるときには、そのバランスがちょっと難しかったですね。

――ではみなさんが印象的だったシーンを教えていただけますか?

沼倉 やっぱりあれですね、カガリの「どどめ色」。いったいどんな色なんだろう? って(笑)。 あと衝撃ということで言えば、アラタの書いたラブレターが貼り出されてた場面が、一番ショックでしたね。 あんなに一所懸命、時間をかけて書いた手紙が、掲示板で晒されてるっていう。

阿澄 アレはホントに笑えない。

沼倉 あそこで笑えるアラタって、すごいと思うんです。 やっぱり、どのエピソードを観ても、自分が中学生だった頃の気持ちが蘇ってきますね。 あ、あと、解放された人はユウが見えなくなるってことに気づいたときは「すごい、わたし!」って思った(笑)。 「もしかしてこういうことなのかな?」って思いながら、アフレコ現場に行って答え合わせをするというか(笑)。 新しいエピソードに進むたびに発見があったのも面白かったです。

能登 沼倉ちゃんと被っちゃうんですけど、ホントに1話1話が濃密なので、どこを挙げればいいか迷いますね……。 役として関わった場面でいえば、ユウと出会った幼少期のエピソードが印象的でした。 ユウの家が火事になったのを観て、一瞬、サヤはユウが犯人だと思っちゃう。 しかもそのとき、ユウに「わたしだと思ったでしょ」って言われるんです。 泣くでも笑うでもない表情で、そう返されたときのショックがすごくて……。あれはなんて言っていいんでしょうね。

阿澄 あれはなんなんですかね……。 諦められてしまったというか、違うんだけど違ってない、みたいな。 なかなかみんな、マトみたいにはなれないんですよ。傷つかない心を持つなんてこと、なかなかできない。

――確かにテレビシリーズ版の『ブラック★ロックシューター』は、傷つくこと、傷つけることが主題のひとつではありますよね。

阿澄 たぶん大人になるにつれて、傷つくのを回避する術を覚えていっちゃうんですよ。 傷つくのがイヤだからちょっと心を麻痺させる。そういう方法に長けてきちゃうんですよね。 でも、傷つかないとわからないことって、世の中にはいっぱいある。そういう傷を乗り越えるからこそ、先があるのかなって。そう思うんですよね。

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